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2026年1月1日施行「取適法(とりてきほう)」 中小企業も注意と対応が必要です

更新日:2025年9月4日

令和8年1月1日より、賃上げ原資の確保に向け、「下請法」が改正され、

「取適法」(中小受託取引適正化法)が施行されます!

近年では、原材料費やエネルギーコスト、労務費等のコストアップが続いていますが、

取引先との関係によっては売上価格に転嫁出来ずにいる社長も多いのではないでしょうか。

取引の立場上、得意先が提示する条件をそのまま飲んでしまうことが少なくない一方で、

賃上げ機運の高まりと原資の確保、その板挟みの状況にあるかと思います。

そこで、中小企業を含めたすべての事業者が、適切な価格転嫁等ができる取引環境の整備・定着等を

目的として、「下請法(下請代金支払遅延等防止法)」が改正され、

「中小受託取引適正化法:取適法(製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律)」

に名称が変わります。(2025年5月16日成立、2026年1月1日施行)

価格交渉や支払方法等に関する禁止行為や適用対象取引の追加・適用対象企業の拡大などの見直しがなされました。

主な改正内容は、下記の通りです。


①協議を適切に行わない代金額の決定の禁止

 ⇒ 業務委託者(受託者)からの価格協議の求めに応じない、必要な情報提供等を行わない等、一方的な代金額の決定を禁止

②手形払い等の禁止

 ⇒ 手形による代金の支払いや、支払期日までに代金相当額を得ることが困難な支払手段の利用を禁止

③特定運送受託の追加

 ⇒ メーカーや卸売業者等の発荷主から運送事業者に委託する「物品の運送の委託(特定運送委託)」が規制の対象に

④従業員基準の追加

 ⇒ 委託者は「300人超(役務提供委託等は100人超)」、受託者は「300人以下(役務提供委託等は100人以下)」

         の事業者が適用対象に

⑤用語の見直し

 ⇒ 「親事業者」から「委託事業者」、「下請事業者」から「中小受託事業者」など、条文中の用語の見直しが行われます


 ※「取適法」の適用対象となる取引と事業者の全体像については右図をご参照ください


   ■「取適法」の適用対象 4つの義務     

・発注内容等の明示  ・取引に関する書類等の作成、保存  ・支払期日を定める  ・遅延利息の支払い

   ■「取適法」の適用対象 11の禁止行為    

・受領拒否  ・代金の支払遅延  ・代金の減額  ・返品  ・買いたたき  ・購入、利用規制  ・報復措置

・有償支給原材料等の対価の早期決済  ・不当な経済上の利益の提供要請  ・不当な給付内容の変更、やり直し  ・協議に応じない一方的な代金決定


「従業員基準」が追加されたことで、今後、中小企業は委託者と受託者、どちらの立場にもなる可能性があるということに注意が必要です。なお、違反行為があった場合の罰則規定(50万円以下の罰金等)も定められています。

今のうちから取適法の概要をつかむとともに、①取適法対象となる取引、取引先の確認、②必要な書面等の準備、③従業員への周知、などの対応をしておきましょう。





ざっくりおさらい そもそも「年収の壁」とは?

更新日:2025年8月25日

令和7年分の所得税から、一定の要件のもと、最大で基礎控除額が「48万円⇒95万円」に、給与所得控除の

最低保証額が「55万円⇒65万円」に引き上げられました。これよにより、

所得税のかかるラインは「103万円⇒160万円」になりました。

「年収103万円の壁」といわれていた「年収の壁」の1つが撤廃されたことになります。

加えて、大学生年代(19歳以上23歳未満)の子等がいる親等の税負担を軽減するしくみ

「特定親族特別控除」が創設されたとともに、

扶養控除等の対象となる扶養親族等の所得要件も改正されています。

これらの改正は、原則として令和7年12月1日に施行され、令和7年分の所得税から適用されます。

多くの給与所得者に関係する基礎控除、給与所得控除が見直されたことにより、年末調整で所得税が還付される人が

増えると見込まれています。


そもそも「年収の壁」とは? 

「年収の壁」には、大きく分けて ①税金にかかわる壁 ②社会保険にかかわる壁 の2つがあります。

詳しくは右の図を参考にしてみてください。


以上の改正等から、令和7年の年末調整は、確認事項が増えることが予想されます。

経理担当者の皆様におかれましては、早い段階からの準備を心がけていきましょう。

基礎控除、給与所得控除の見直しに伴い、年末調整時に提出する

〇給与所得者の基礎控除申告書 〇給与所得者の配偶者控除等申告書 

〇給与所得者の特定親族特別控除申告書(NEW!) 〇所得金額調整控除申告書

それぞれの様式が変更、追加されることになります。

給与計算担当者が年末調整事務を正確に行うためには、各従業員に上記の書類を正確に記載してもらう必要があります。

とくに、従業員本人の年収見込額、配偶者の年収見込額、大学生年代の子等の年収見込額がいくらになりそうか、

スムーズに確認していけるように、従業員の方々への周知を段取りよく進めていきましょう。


改正に伴い複雑になる年末調整業務、不明点などがあれば、お気軽に担当者までご連絡下さい!

 





それって「福利厚生費」?

更新日:2025年8月12日

「福利厚生費」は、従業員への慰労や生活の充実等のために要する費用で、税務上、一定の要件を満たすことが必要となります。

その要件を満たしていない場合、給与として取り扱われる可能性がありますので注意が必要です。

従業員やその家族のために企業が任意で設ける福利厚生費の例としては、次のようなものが該当します。

・社宅の提供  ・社内レクリエーション(社員旅行など)  ・食事代の補助、食事の提供  ・健康診断、人間ドックの費用

・通勤費  ・慶弔見舞金  ・自社商品、サービスの社員割引  ・育児、介護サービス費用の補助   など


税務上これらが福利厚生費として認められるためには、次の要件を満たす必要があります。

全従業員が対象であること

現金や換金性の高いものの支給ではないこと

社会通念上妥当な金額であること

※福利厚生に関する規定を定め、社内に周知しておくとよいでしょう。


こんなケースはどうなる?福利厚生費?給与?

(1)従業員への社宅提供や住宅手当等

   会社が所有する住宅、または会社が家賃を支払って借り上げた住宅を、従業員に対して社宅・寮として提供する場合、従業員から賃貸料相当額の50%以上を受け取っていれば、

   残りの会社負担分は福利厚生費になります。従業員の負担割合が50%未満や無償であれば、会社負担分はその従業員への給与として取り扱われます。

   従業員が直接契約する賃貸住宅の家賃や住宅ローンなど住宅に関する費用を補助する目的で支給する「住宅手当」等は、給与として取り扱われます。


(2)従業員の健康診断費用

   全従業員を対象にした健康診断を実施する場合、その費用を会社が病院等に直接支払う、または従業員が費用を立て替え、後日、清算するのであれば、その費用は福利厚生費になります。

   ただし、一般的な健康診断を超え、費用が高額になるものは給与として取り扱われます。


(3)従業員への食事の支給やまかない費用

   従業員に食事を支給(まかない、仕出し弁当の提供等)する場合、次の2つの要件を満たせば福利厚生費となります。

   ①従業員が食事の価額の半分以上を負担していること   ②会社負担分が1か月あたり3,500円(税抜)以下であること

   また、上記の要件を満たせば、食事に限定したチケットを配布する場合も福利厚生費になりますが、食事手当として現金支給すると給与になります。


以上、3ケースほどご紹介させて頂きましたが、これ以外にも福利厚生費に計上するうえで税務上の判断が必要になるケースは多々あるかと思います。

判断に迷ったときは、お気軽に担当者までご相談ください。





知っておきたい「借入金」のきほん

更新日:2025年7月29日

今回は「借入金」の会計処理や管理にフォーカスをあて、その基本をあらためて確認してみましょう。


①借入金は、「短期」と「長期」でまず区分。

 会計のルールに基づき、返済期限が1年以内に到来するものを「短期借入金」(流動負債)、返済期限が1年を超えるものを 「長期借入金」(固定負債)として区分し、

 分割返済の長期借入金については、返済期限が1年以内に到来するものを 「1年以内返済長期借入金」(流動負債)として区分管理します。


②役員からの借入金は金融機関からの借入金ときっちり分けましょう。

 役員からの借入金は、上記借入科目とは区分して、「役員借入金」を使用して管理しましょう。利息の支払いや毎月の返済がある場合には、

 「金銭消費貸借契約書」等を作成し、借入金額、利息の有無、返済日、返済期限等を書面で明らかにしておきましょう。

 役員借入金がある場合、その資金の「出所」は税務調査での確認事項の1つになりますので、「出所」を明確に説明できるようにしておきましょう。

 役員借入金が多額になってしまった場合、役員個人に相続が発生すると、借入金(役員側から見ると貸付金)は、相続財産に含まれることになります。

 現状を把握したうえで、計画的な返済スケジュールを設定したり、繰越欠損金がある場合などでは、返済の目途が立たない役員借入金の債務免除を受けることも検討しましょう。


③借入金を区分すると見えてくる。「資金繰りがどれくらい安定しているか?」

 借入金の返済に充てられる資金は、おおまかには、「当期利益+減価償却費」です。その額が「1年以内返済長期借入金」を下回る状態だと資金繰りが悪化してしまいます。

 借入金を明確に区分することで、どれくらい利益を出せば借金を返していけるかを考えるベースにもなります。


④借りた後は、返済に向けた管理と金融機関との関係を大切にしよう。

 金融機関ごとに借入目的、借入金額、借入期間、返済期限、毎月の返済額、担保の有無と担保提供資産の情報を「借入金台帳」等に整理しておきましょう。必要な資金が確認出来るとともに、借り換え等の際にも役立ちます。

 金融機関からの借入については、その借入先に対して、決算書を提出し自社の財務情報を開示する必要があります。金融機関は融資先の最新業績を踏まえた上で、定期的な情報交換を通じて融資先企業を支えたいと

 考えていますので、借入後の金融機関との関係を大切にしましょう。金融機関等への財務情報の開示は、決算書等のみならず、試算表(月次、四半期、半期)についてもTKCモニタリング情報サービスを利用することで、

 電子的に提供が出来ます。詳しくは、担当者までお問合せ下さい。


   ~ 金融機関への決算書の提供は、紙から電子へ ~

   「TKCモニタリング情報サービス」についてはこちらをご確認下さい





中小企業こそ活用したい「生成AI」あれこれ

更新日:2025年7月7日

中小企業における人手不足は深刻で、これを打開するためには業務効率化が不可欠です。

弊社では、TKC会計システムを活用した、経理の省力化サポートを実施しておりますが、今回は人手不足解消の手段の1つとして

注目されている「生成AI」についてご紹介させて頂きます。中には、無料で手軽に使えるものもありますが、使用時には著作権等に注意しましょう。


そもそも、「生成AI」って何のこと?

生成AIとは、人がPCやスマホから入力した「指示」(プロンプト)に応じて、インターネット上に公開されている膨大な文字・画像等の

情報(ビッグデータ)から、指示内容に沿う「回答」をピックアップしてつくりだし、示してくれる技術のことです。

指示内容は文章のほか、画像や音声、図表などを入力するだけでも、それに対して、文章や画像、動画などさまざまな形で、

生成AIがその名の通り、答えを生成してくれます。


1人ひとりが担う仕事量が多い中小企業は、生成AIを活用するメリットは大きい

人手不足に悩む中小企業では、デジタルを活用して業務効率化を図ることが重要です。定型業務だけでなく、動画制作等のクリエイティブな

業務についても、生成AIにより業務を簡素化できるかもしれません。新しい商品やサービスのアイデア出しにも活用できるため、

メリットは大きいといえます。効率化により生まれた時間を、営業活動等の新たな収益を生む可能性がある業務に充てることもできます。


ファクトチェックは欠かさずに!「権利の侵害」にも注意しましょう

生成AIは、インターネット上の情報から答えを導き出すため、ときに事実と異なる情報が示されることもあります。利用する際は、ファクトチェック(事実確認)を欠かさずに行いましょう。

また、他人が著作権を有する文章・画像等を生成AIに入力すること(入力行為)自体は原則として問題はないものの、その類似品を作成する目的がある場合は、入力行為そのものが著作権侵害行為にあたるおそれがあります。

企業ロゴや商品デザイン等の作成時も同様に、商標権や意匠権の侵害にあたらないか、配慮する必要があります。


業務効率化に役立つ生成AIツールをいくつかご紹介します

① ChatGPT          : 文書作成、データ分析、ロゴや画像の作成等 ⇒ まるで人間を相手にしているように、文章や画像をチャット形式で入力することで、文章案の作成やデータ分析、商品ロゴ案の作成等で使えるツールです。

② Canva(キャンバ) : 画像・動画・音楽作成 ⇒ 文字入力した情報で、画像や動画、音楽、ナレーションを作成できます。商用利用が可能で、プロモーションに活用できます。

③ Rytr(ライトル)    : 文章作成 ⇒ キャッチコピーや長文の作成に役立つ文章作成ツール。無料で月に1万字まで生成できます。


※個人情報や機密情報の入力はNG!

    ⇒ 生成AIは、収集した情報を蓄積し「学習」することで、より高度な情報を提供します。インターネットに接続して使うサービスに、顧客の連絡先等や機密情報を入力すると、情報漏洩のおそれがあるため注意しましょう。





2025年度 IT導入補助金について

更新日:2025年6月18日


2025年度も、昨年に引き続きIT導入補助金の公募が開始しております。

既に第一次募集(公募締切5月12日)、第二次募集(公募締切6月16日)の受付が終了しており、

本日6月18日は、第一次募集の採択結果発表日となっていました。

弊社でも法人、個人事業主のお客様と合わせて4件の申請をお手伝いさせて頂きました。

結果としましては、4社様とも無事に交付決定の採択を受けております。

二次募集でも法人1社の申請をお手伝いさせて頂いており、7月24日の採択結果発表に期待したいところです。

IT導入補助金2025の事業スケジュールとしては、本日時点で第5次募集までが決定しているため、下に記載致します。


第3次募集 ⇒ 公募締切:2025年7月18日(金)17:00       交付決定日:2025年9月2日(火)

第4次募集 ⇒ 公募締切:2025年8月20日(水)17:00   交付決定日:2025年9月30日(火)

第5次募集 ⇒ 公募締切:2025年9月22日(月)17:00   交付決定日:2025年10月31日(金)


IT導入補助金2025 リーフレットについてはこちらからご確認下さい(PDFファイル)

IT導入補助金2025 ホームページはこちらからご確認下さい


IT導入補助金に限らず、弊社では各種補助金の申請サポートを行っております。

また、お客様が申請対象になる補助金の情報があれば適時、情報提供もさせて頂いております。

補助金の申請にお悩みの経営者様がいらっしゃれば、お気軽にお問合せ下さい。





親の税負担を軽減「特定親族特別控除」が新設されました

更新日:2025年6月5日

これまで大学生年代(19歳以上23歳未満)の子を持つ親等(扶養する側)は、子(扶養される側)のアルバイト等による年収(給与収入のみ)が、

103万円以下であれば、親等の所得から扶養控除として63万円の控除を受けることが出来ました。

そのため、子は「年収103万円以下」になるよう、働く時間を調整することもあり、学生アルバイトを雇用する事業者は、

人材確保に苦慮することも多くありました。


そうした状況を税制面から改善するため、令和7年度税制改正において、

「特定扶養控除」の子の年収要件が引き上げられるとともに、新たに「特定親族特別控除」が創設されました!

大学生年代の子が収入を増やしても、親等の税負担が軽減されるような仕組みとなっています。


改正① 「特定扶養控除」の年収要件を引き上げ

 親等が受ける「特定扶養控除」(控除額63万円)について、子の年収要件が103万円以下から123万円以下に引き上げられました。

改正② 「特定親族特別控除」の創設

 「特定扶養控除」に加え、「特定親族特別控除」が創設され、大学生年代の子の年収が123万円を超えても、150万円以下であれば、

 「特定扶養控除」と同額(63万円)の「特定親族特別控除」を親等が受けることができるようになりました。また、

 子の年収が150万円を超えても、年収188万円以下までは段階的に61万円~3万円の所得控除を親等が受けることができます。

改正③ 学生自身の税負担も軽減

 アルバイトによる給与収入がある学生は、これまで年収103万円を超えても、年収130万円以下であれば、「勤労学生控除」(27万円)を

 受けることで、税負担はありませんでした。令和7年度税制改正において、勤労学生控除の所得要件が年収150万円以下に引き上げられました。

 つまり、年収150万円までは、アルバイトをしている学生自身の所得税負担がなく、親の税負担もこれまでと変わらないということになります。


これらの改正は、令和7年分の所得税から適用されます。今回の改正により、アルバイトをしている学生等が、「年収103万円」を超えて、より多く働けるようになるため、

学生アルバイトを雇用する事業者は、より柔軟なシフトを組むことができるようになりそうです。




いま一度確認してみよう。「費用計上のルール」

更新日:2025年5月22日

日々の業務の中で、処理の仕方を迷ったり、疑問を抱いたり、中には誤解していたりすることもあるかもしれません。

「適時・正確な記帳」のため、今回は「費用」についていま一度確認してみましょう。


費用計上のルールは「今期の費用は今期に、翌期の費用は翌期に」


費用計上には一定のルールがあります。そもそも「費用」とは、収益を得るために発生する支出のことを指します。

そのため、一定期間の収益とその費用は必ず対応させること、また、発生した期間に正しく割り当てられるように

処理することが求められます。(費用収益対応の原則)

加えて、いつ費用にできるかというタイミングには、税務においても一定のルールがあります。

これは、課税の公平性の観点から、「利益が出たから今期だけまとめて1年分支払う」といった利益操作のための支出や、

収益との対応期間のズレがないようにするためです。

税務上の費用は「損金」といい、売上を得るために直接要する費用(売上原価)は、売上に対応する部分だけ、つまり、

仕入の額から期末の棚卸高を除いた額が売上原価として計上できます。販売費や一般管理費、その他の費用については、

「当期中に債務が確定しているもの」が損金に計上できます。「当期中に債務が確定しているもの」とは下記の要件をすべて満たしているものをいいます。


「当期中に債務が確定しているもの」の要件

1.その費用に係る債務が成立していること(注文や申込等を行っていること)

2.具体的な給付をすべき原因事実が発生していること(役務の提供を受けていること)

3.金額が合理的に算定できること(請求書等で金額が分かること)


例えば、修繕費の場合、建物等の修繕を発注し、修理業者による修繕が完了し、かつその金額が客観的に確認でき得る状況にあれば、上記3つの要件を満たしているため、代金を支払っていなくても「未払金」等として計上することが可能です。

「費用」を認識するタイミング等で、誤りやすいケースを確認してみましょう。


ケース① 3月決算法人である当社は、4月に入社する新入社員向けの通信講座を3月に申込、支払も行った。その際、支払った全額を「教育費として」3月に処理している。

     ⇒ 3月中に「役務の提供」を受けていないので、当期中の費用とすることはできません。したがって当期は、「前払費用」等として処理する必要があります。


ケース② 3月決算法人である当社は、決算対策の一環として、3月に新しいタブレットPC(8万円)を10台購入し、「消耗品費」として処理した。

     ⇒ 取得価額10万円未満の資産の購入は、原則として、その取得価額の全額を「消耗品費」として費用計上することが可能です。ただし、そのタブレットPCを当期において「事業の用に供した」、つまり実際に業務に

       使用していなければなりません。未使用の状態で、実際に業務に使用したのが4月以降の場合には、「貯蔵品」として翌期に繰り越す(当期の費用としない)ことが必要になります。


処理の仕方に迷ったり、判断が難しい取引があった場合は、お気軽に監査担当者までお問合せ下さい。




年収160万円まで所得税の課税最低限が引き上げ

更新日:2025年5月8日


令和6年末から大きな話題となっている「年収103万円の壁」の見直し。3月12日時点では、123万円に引き上げられると

最新情報にてご紹介させて頂きましたが、令和7年度税制改正により、所得税が課税されない範囲が、「103万円」から

「160万円」へと見直されることになりました。(※本記事内での年収とは、給与所得者の年間給与収入のことをいいます。)


一定の要件のもと所得税の課税最低限が「年収103万円」から「年収160万円」に!

令和6年分まで、年収103万円以下の給与所得者は、所得税がかかりませんでした。この103万円の根拠は、

給与所得控除の最低保障額55万円と基礎控除額48万円の合計です。

本改正で、給与所得控除と基礎控除の金額が見直され、所得税の課税最低限が160万円まで引き上げられました。(※図表1)


57万円が一律で引き上げられたと思われがちですが、実は少し複雑です。

給与所得控除、基礎控除ともに、段階的に控除額が決められており、図表2及び図表3に則って、控除額が決まります。

まずは給与収入から図表2で該当する給与所得控除額を控除します。

給与所得控除後の金額について図表3の合計所得金額欄に該当する基礎控除額を控除することになるため、

160万円の控除を受けることが出来るのは、年収200万円相当以下の人ということになります。


また、基礎控除については令和7年・8年と令和9年以降でも控除額が異なっているため、


給与計算事務が複雑になるという影響が考えられます。


TKCの給与計算システムを利用することで、複雑な年末調整事務、源泉徴収事務を効率化・省力化することができます。

この機会に給与計算システムの導入を検討される際は、担当者までお気軽にお問合せ下さい!


TKC給与計算システムについては下記のページより詳細をご確認下さい。



■ TKC戦略給与情報システム PX2のご紹介


■ PXまいポータルのご紹介






令和7年度税制改正 のポイント 「子育てを支援する税制」

更新日:2025年4月10日

子育て世帯の経済的負担を軽減し、安心して子育てができる環境を整えることを目的として、令和7年度税制改正において、

子育て世帯等を対象とした税制改正がありました。その中から今回は、2つの改正をご紹介させて頂きます。


①子育て世帯等に対する「住宅ローン控除の拡充」の延長

住宅ローン控除とは、住宅ローンの年末残高の「0.7%」を、新築住宅は13年、中古住宅は10年にわたり所得税から控除できる制度です。

令和7年度税制改正において、令和6年限りとされていた子育て世帯等に対する住宅ローン控除の借入限度額の上乗せ措置および、

床面積要件の緩和措置が、令和7年に限り引き続き適用できるようになりました。

対象となる子育て世帯等とは、19歳未満の子を有する夫婦いずれかが40歳未満の夫婦のことをいいます。

対象となる方が、新築・買取再販(不動産業者が中古住宅を買い取り、リフォームやリノベーションを施した上で再販売したもの)で、

「長期優良住宅・低炭素住宅」、「ZEH水準省エネ住宅」、「省エネ基準適合住宅」を購入する場合、

住宅ローン控除の借入限度額が、500万円もしくは1,000万円上乗せされます。

また、新築住宅の床面積要件が「50㎡以上」から、「40㎡以上」に緩和されています。

ただし、床面積要件の緩和措置を適用する場合、合計所得金額が1,000万円以下で、

新築住宅の建築確認が令和7年12月31日以前に行われていることという要件があるためご注意下さい。


②子育て世帯に対する「生命保険料控除の拡充」

令和8年分の措置として、子育て世帯(年齢23歳未満の扶養親族がいる世帯)を対象に、所得税の生命保険料控除において、以下の見直しが行われます。

・新生命保険料に係る一般生命保険料の控除額の計算方法を見直し

・旧生命保険料および上記新生命保険料を支払った場合の一般生命保険料控除の適用限度額を最高6万円に引き上げ(現行:最高4万円)


なお、一般生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料の各控除の合計適用限度額(12万円)については変更ありません。


その他にも、子育て世帯等に対する「住宅リフォーム税制の拡充」の延長などが令和7年度に限り、引き続き適用可能となっておりますので、

ご自身が対象になるかどうか分からない、対象だけど申告書の作成方法が分からないといった方がいれば、お気軽にご相談下さい。




令和7年度税制改正 のポイント 「iDeCo」の改正

更新日:2025年3月28日

将来の老後資金を自身で積み立てて育てる年金制度、個人確定拠出年金「iDeCo」(イデコ)。

令和7年度税制改正において見直されたポイントを解説します。


そもそも「iDeCo」ってなに?

iDeCoとは、国民年金や厚生年金等の公的年金に上乗せする年金制度の1つです。

加入は任意で、自身で設定した掛金を拠出し、金融商品で運用。運用益を含めて積み立てた年金資産は、

原則60歳から受け取ることができます。

※iDeCoを取り扱う金融機関を通して加入します。

※平成14年1月から制度運用がスタートし、令和6年12月現在で約354万1,000人が加入しています。


iDeCoは

①拠出した掛金の全額が所得控除の対象となります。

②運用益も非課税で再投資が出来ます。(通常、金融商品を運用すると運用益に税金がかかります)

③受取時にも控除が設けられています。(公的年金等控除、退職所得控除)


令和7年度税制改正において、iDeCoへの拠出限度額が引き上げられました。

第1号被保険者(自営業者やフリーランスの方):旧拠出限度額(国民年金基金等と合算)6万8,000円 ⇒ 新拠出限度額(国民年金基金等と合算)7万5,000円

第2号被保険者(企業年金加入の会社員等):旧拠出限度額2万円(企業年金と合算で5万5,000円) ⇒ 新拠出限度額(企業年金と合算)6万2,000円

第3号被保険者(企業年金なしの会社員等):旧拠出限度額2万3,000円 ⇒ 新拠出限度額6万2,000円


働き方やライフコースが多様化する中、老後に向けた資産形成をより一層促進する制度となっております、

拠出額が毎年の年末調整や確定申告において所得控除の対象となるのも大きなメリットですね。

ご興味のある方は是非、お近くの金融機関までお問合せ下さい。




令和7年度税制改正 「103万円の壁」が見直しされます。

更新日:2025年3月12日


令和7年度税制改正において、基礎控除・給与所得控除がそれぞれ10万円引き上げられました。

令和6年までは、給与所得者は年収が103万円以下であれば、所得税がかかりませんでした。

「103万円」とは、基礎控除48万円と、給与所得控除の最低保障額55万円を合わせた合計の金額です。

このことから、「103万円」という金額が1つの区切りのように強調され、その結果、この金額を目安として

就業調整をする人も少なくありませんでした。

令和7年度税制改正により、基礎控除が58万円に、給与所得控除が65万円(最低保障額)に引き上げられます。

これにより、一部の人を除き所得税の減税となります。特に、これまで「103万円以内」を意識して

就業調整をしていた人は、所得税の非課税の範囲が123万円まで拡大することで、働き方が変化することになります。

給与所得控除の見直しは主に給与所得者を対象としていますが、基礎控除の引き上げは、合計所得金額2,350万円以下の

 個人事業主にも適用されます。


この見直しに伴い、扶養控除の合計所得金額要件も見直されることになります。

「103万円の壁」の見直しは、令和7年分の所得税から実施されますが、令和7年分については年末調整での対応となり、

令和8年分以降については、改正後の「源泉徴収税額表」を適用することになります。

給与計算システムの活用等、柔軟な対応ができるように準備をしておきましょう。




きちんと実施していますか?「棚卸」

更新日:2025年1月21日


商品、製品、仕掛品、原材料等の棚卸資産は、会社の資金が形を変えた大切な財産。知らぬ間の消失や陳腐化、

破損は財産の損失であり、経営に大きな影響を及ぼします。そのため、定期的な実地棚卸による在庫管理は必須。

「棚卸」の重要性をあらためて考えてみましょう。


会社が保有する棚卸資産を数えて正確な数量や品質を確認する「棚卸」は次のような観点で正しく行うことが求められます。

●正確な決算書の作成 ⇒ 「費用収益対応の原則」に従って、来期以降の売上に対応する商品や製品は期末在庫となり、

              当期の売上原価にはなりません。これにより、正しい当期の利益が決算書に表示されます。

●適切な在庫管理   ⇒  実地棚卸は、過剰在庫や不足在庫、商品の破損、紛失を発見する絶好の機会です。

              発注量の調整や不良在庫の処分等、適切な在庫管理のために必要な情報を得られます。

●適正な税務申告   ⇒  在庫の計上漏れは所得の過少申告になります。下記のような「社外在庫」は注意が必要です。


決算時に正しく期末在庫を把握するための5つのポイント

①在庫の実際の数量と帳簿上の数量は一致していますか? ⇒ 一致しない場合は、入出庫時の記入ミスはないか等、原因を確かめる必要があります。

②社外の倉庫や取引先に自社の材料や製品を預けていませんか? ⇒ 社外在庫については保管先から「保管証明書」等を発行してもらいましょう。

③すでに仕入計上されているもので、まだ自社に届いていない商品はありませんか? ⇒ 未着商品は、所有権が移転した時点で、棚卸資産として計上します。

④決算日時点で得意先に未着または未検収の製品等はありませんか? ⇒ 売上計上の基準を納品や検収基準としている場合、発送した製品等が、決算日時点で

                                  取引先に未着または未検収であれば、棚卸資産として計上します。

⑤決算日間際の仕入や売上はありませんか? ⇒ 決算日間際に仕入れた商品について、その商品がまだ売上となっていない場合は、期末在庫となり棚卸資産に計上する必要があります。


月末、期末に慌てないためにも、日ごろから、入出庫管理の徹底、定期的な実地棚卸、倉庫内の清掃及び整理整頓を心がけていきましょう!




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